チェロの横板割れ修理

2016年11月10日(木)

 

横板が割れてしまったチェロの修理の様子。今回は、楽器をオープンせず、予算&お預け期間を極力負担の小さいもので進めるという修理方針をとっていきます。

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外部から受けた力によって、割れが内側に凹んでズレ込んでいている状態でしたので、まず割れの近くに1mmほどの穴を開けさせていただきます。

 

(修理後、ニスの色合わせにより目立たないものになるのですが、無かった穴を新たに開けるという意味で全ての楽器に許される修理内容でないのが、この低予算型の修理ではあります。)

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ワイヤーを通し、接着と同時にズレた割れ断面を引っ張り出すかたちでぴったり合わせます。

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このチェロは割れが素直で、砕けて消失した破片なども無いので、内部に簡易的な補強のパッチを接着します。

 

今回楽器に貼り付けたいのは、薄い円形の補強で、写真にある角形のブロックは、それを接着するときに押さえとして機能するものなので、万が一膠がついてしまい一緒に接着されてしまいことがないように全体を膠の効かないテープで覆っておきます。

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いざ接着。割れの合わせ+接着+補強を同時にキメます。

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最近は、楽器の内部のモニタリング機材も驚くほど低価格化が進んでいるので、僕のような小規模個人工房にも気軽に導入できて助かります。

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ワイヤーで締めると、内部はこんな感じになっています。

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膠接着後、ワイヤーを外すと・・・。

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無事に割れを橋渡しするかたちで補強の施工ができました。

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割れのズレも、理想的に修正できました。あとはニスをリタッチして仕上げていきます。