2002年5月

yumi-chippu2
今日は弓のチップの交換をやらせてもらいました。
割れてしまったチップを弓の竿本体を痛めないように剥がし(上写真)、そこに熱で少し曲げたチップにボール盤で穴を開けたものを接着します。この穴がクサビ穴を加工する時のきっかけにもなるのですが、接着時にずれてはいけないので神経を使うところでもあります。
接着後は弓に合わせて加工していきます。ここでも弓を痛めないように気をつけながら連続した面になるように削っていきます。
安易に削ろうとするとポロポロと割れてしまったりするので(特に牛骨チップでは注意が必要らしいです)とにかく神経を集中して少しずつ削っていきました。
yumi-chippu

今日(5/9)は工房での作業の後、現在、ドイツで銘器の修理・修復・研究をおこなっている須賀 修氏による講演会を聴きにいってきました。
正直なところ今の僕にはピンとこない話も多かったのですが、数多くの銘器を見ている人が普段それらの楽器をどの様に見ているのかということはとても興味深かったです。

今日は弓の毛替えをやらせてもらいました。
僕が教えてもらった毛替えのやり方は、当然の事ながら親方の毛替えの方法です。親方の毛替え法は親方が考えたものらしく、それ用に作った道具も使います。
僕は初めからそのやり方を教わりました。つまりそれが僕にとって普通のやり方になっているわけです。これは実は凄いことで、親方がいろいろ試行錯誤してきた中、こういうやり方がいいと考え出したものから僕はスタートさせてもらっているのです。
もちろん、その親方のやり方をものにするのにまた長い時間が掛かるわけですが、1つ1つの作業でより良い結果の得られる方法を常に考えていく事の重要性から言っても、僕はすごく恵まれていると思います。
昨日の講演を聴きながらも思ったことですが、その場所にいるからこそ得られるものがあって、そこにいる間にいかにたくさんそれをものにできるかが大きいのだなと思いました。

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今日は、毛替えの時に使う道具を作りました。今まで毛替えをやらせてもらった時には、親方の物を借りていました。
この道具は、はたがねを加工した物で作業中毛を固定するため(正確にはそれだけではないのですが)の物です。
台は円柱状の真鍮にデザインとして旋盤で刻みなどを入れました。
こういう道具を作ると金属も意外に加工できる(物によるとは思いますが)素材だということが分かります。
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台との接合部にはダイスを使ってネジを切りました。↑

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毛替えの時に束ねる毛の量を測るゲージを作りました。
毛の量を測る方法にはいくつかあるらしいのですが、今回作ったのは毛の断面積で毛の量を測る物です。
まず、真鍮の板を金ノコでおおまかな形に切ったもの(上写真)をヤスリなどで形を整えていき1枚のプレートを作りました。次に、大きさが0.1mm間隔になるようにボール盤で穴をあけ、その穴に毛を通すための切り込みを糸ノコで入れました。
面を取り表面も磨いて、最後に穴のサイズの刻印を押しました。
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今日は親方が製作中の楽器にフッターライステン(ライニング)を入れるための溝を彫る工程をやらせてもらいました。
ツァルゲに沿ってクロッツに溝を彫っていったのですが、周りに傷を付けないように彫るのはとても難しかったです。