2004年1月

今日は指板剥がれによってネックの下がってしまったヴァイオリンのネック上げ修理、ニス修理、指板の接着などをしました。
通常どんなヴァイオリンも、指板は長年の間に(もちろん、その下がっていくスピードは楽器の作りなどによって様々ですが)下がってくるものです。
ただ、楽器が部分的に壊れて、本来楽器全体で成り立つ強度が失われてしまった場合、弦を張ったままにしておくと、その張力で急激に楽器が変形してしまうことがあります。
こうしたネック上げの修理にはいくつかやり方があるのですが(楽器の総合的な状態、修理期間・費用、修理のタイミングなどによっても変わってくるようです)、今回はネックジョイント部にクサビを入れることでネックの角度を上げる方法で行いました。
それから、今日は工房でストラディヴァリの楽器を見る機会がありました。工房にあった時間は短かったのですが、僕も少し弾かせてもらいました。新年早々縁起がいいです(?)。

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今日は折れてしまった弓の修理をしました。
折れた断面で接着をした弓に補強の為のクサビを入れました。縦に溝を彫り、弓竿と同じフェルナンブコの補強材を入れ、その部分を弓のラインに合わせて形成し直す作業です。
ただ、弓は想像以上に強度を必要とする物なので、この様な修理をすればその後100%問題なく使えるとは、なかなか言いきれないもののようです(そういった意味でも、とても神経を使う修理かもしれません)。

今月(13~23日)親方がドイツに行くのですが、今回は僕もついていくことになりました。親方が以前仕事をしていたミッテンヴァルトにも行く予定です。
親方を始めいろいろな方の協力を得て行くことができるドイツなので、有意義なものにしたいと思っています。

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ドイツに行った13~23日の事を少し書いておきます。
成田からウイーンを経由してドイツに入りました。ニュルンベルク、アドルフ、マルクノイキルヒェン、ミュンヒェン、オーバーアマガウ、ミッテンヴァルトと見て廻りました。
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ニュルンベルクでは城壁に囲まれた街を歩き、高台にある古城カイザーブルク、楽器の展示もあるゲルマン国立博物館などに行きました。博物館ではニュルンベルクの弦楽器製作者「Leopold Widhalm」の本を買いました。
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マルクノイキルヒェンの楽器博物館にも行きました。館内に入ると感じのいい女性の職員が話しかけてきたので、好印象ついでに怪しいドイツ語で「ココデ写真ヲ撮ッテモイイデスカ?」と聞いてみました。一応通じたのですが、返ってきた返事は「ええ、でも1ユーロのチケット売店で買ってきてね。」でした。
ヘタな事を聞かないで写真を撮っていても大丈夫だったのもしれないですが、言葉が通じたことが嬉しかったので喜んで1ユーロ払いに戻りました。
売店のオバちゃんも僕がカメラ首にかけてるくせに堂々と館内に入って行ったので、戻った時には「やっぱり戻ってきたね、あんた」といった顔をしていました。
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ミュンヒェンでは、ミュンヒェン市立博物館(Stadtmuseum)、ドイツ博物館などに行きました。ここではちょっとした道具なども買いました。
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オーバーアマガウには、木彫りの人形がショウウィンドウに並ぶお土産屋がたくさんありました。建物の壁に描かれたフレスコ画を見ることもできました。
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ミッテンヴァルトでは、親方の師匠のヨゼフ・カントゥーシャ氏の工房にお邪魔しました。カントゥーシャ氏はこの日もバリバリ仕事をしていました。製作中の楽器や道具などいろいろと見せて頂くことができました。
それから、ミッテンヴァルトでは自分の木材と道具をいくつか買いました。
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ドイツから帰り、いつも通りの生活に戻りました。今日はチェロのペグ交換などをしました。

今日はヴィオラの指板の部分剥がれ修理・反りの調整、駒の高さ・オーバーザッテルの溝調整、テールピースの裏彫りの仕上げなどをしました。

今日は埋めたヴァイオリンのエンドピン穴の開け直し作業、チェロのエンドピン交換、オーバーザッテル削りなどをしました。