2009年3月

2009vn-va-scroll2
今日は、ヴァイオリンのニス修正、コントラバスの裏板の割れ修理の仕上げ、及び魂柱調整、そして、新作ヴァイオリンとヴィオラの方は、ペグボックスの加工をした後、スクロールの面取り(角を丸くする作業)をし、仕上げました。
毎回、このあたりの作業をしながら考える事なのですが、スクロール部分は、その楽器の作りや美しさの象徴的な(表面的には見えない部分も含めて、本質的な部分の総体がにじみ出るような)部分な気がします。
自分で作っていて何ですが、最終的に、ちょっとゾクッとするような美しさが出せた時には、かなり嬉しいです。
なかなか、それが難しいのですが・・・。
ただ、対演奏者として(手に取っていただく人に対して)は、誰もが富士山や朝日(夕日でもいいんだけど)を見て共通に感じるように「きれいだなぁ」と単純に(理屈抜きで)感じてもらえる、楽器としての雰囲気作りを目標にしています。

2009vn-va-shiban
今日は、新作ヴァイオリンとヴィオラの指板を仕上げました。
僕のやっている製作法では、この間まで作っていたスクロールのデザインなどの解りやすいところから、写真ような普段は見えない指板の裏まで、楽器全体でのデザインの統一性や、楽器としての必要な強度が許す範囲(表・裏・横板・ネックの厚みなどを薄くすることなく)で、無駄な質量となる部分はできるだけ持たせない作りにします。
各箇所で許される軽量はごくわずかずつですが、スクロール、ペグボックス、各スクープ部、指板・テールピース・アゴ当ての裏側・・・などなど、小さな軽量箇所を足し合わせていくと最終的な楽器の総体としての重さには、はっきりと現れるものとなります。
楽器は、ひたすら軽ければ良いと言うものではありませんが(トータルで考えなくてはいけないことはもうちょっと複雑系なので・・・)、弦を摩擦したエネルギーをいかに無駄に消費することなく音につなげるかを考えた場合、とても重要な要素の一つになると思います。
良い音(効果)を出すためには、製作でも調整でも、ある程度の戦略が不可欠だと個人的には思っています。

2009vn-va-ryuuki
今日は、チェロの表板のはがれ修理、ニスのリタッチの続き、新作ヴァイオリンを表板の仮接着と新作ヴィオラの裏・表板の隆起の形成をしました。
ヴァイオリンの方の「仮」接着というのは、ここでの表・裏板の接着は後の工程で再び剥がすからで、表板・横板・裏板の3つのパーツに同一の輪郭をもたせる為に一度貼り合わせてから加工をします。
ヴィオラの方も、ヴァイオリンの後を追うように進めていくつもりです。ちなみに、今製作しているヴィオラのボディーのサイズは41cmです。