2002年12月

親方が約1週間ドイツに行ってきました。僕はその間、工房で自分の道具(豆ガンナ)作りを進めていました。
休みも2日ばかり頂いたので、武蔵野音楽大学の楽器博物館に行ってきました。ここは、基本的に水曜日の10:00~15:00に無料で一般公開しているそうです(ただ、あくまでも基本的にのようですが・・・)。
僕は弦楽器メインで見るつもりで行ったのですが、鍵盤楽器・管楽器・民族楽器も含めてかなり興味深いものがありました。
1階の広いフロアーにはいろいろな鍵盤楽器(主にピアノ)が並んでいました。僕はピアノが弾けませんし、専門的な知識は無いのですが、ここは個人的に見ごたえを感じたところです。
現在一般に普及いているピアノにはある程度の定まった形があります(もちろん、この事はピアノに限らないのですが)。ここには、そのピアノが作られた時代背景を反映しているのだろうなと思われる(今じゃあり得ない)装飾や形・サイズをしたものがあって、とても面白かったです。
これらのピアノはだだ並べてあるだけなので「これはどんな音がするのかな?」なんて思わず音を出したくもなるのですが、当然の事ながら館内の楽器には一切触れてはいけない(写真撮影も禁止)ので、ちょっと歯がゆかったりもしました。
2階には管・弦楽器中心に展示されているフロアーでした。この階には比較的特殊な部類の楽器(琴・雅楽・ハープ・チェンバロ・西洋古楽)専攻の学生さんが使用するレッスンルームもあるらしく僕が行った時にはお琴の音色が聞こえました。
弦楽器の展示室にも普段そうはお目に掛かれないような楽器がたくさんありました。
それから、武蔵野音大には日本の手工ヴァイオリン製作の始祖的存在の菅沼源太郎氏が勤めていたことがあると本で読んだことありますが、その辺の影響のもあってか(?)、日本のヴァイオリン製作の歴史を見る上でも貴重なものもいくつか展示されていました。
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↑館内パンフレットと学生用(?)小冊子MUSASHINO FOR TOMORROW
その中には、比較的最近この博物館に寄贈されたという「宮本金八氏作のカルテットセット」がありました。
このカルテットセットは、氏がこのセットを自身の代表作として「絶対に(この4本の楽器を)散逸させぬ」という断固たる意思のもとで、自ら改装した展示用ケースに納め大切に保管してきたもの -MUSASHINO FOR TOMORROW 2001.JANUARY Vol.56 より- らしく、ここにはそのケースごと展示されていました。
解説によると、これらヴァイオリン(2本)、ヴィオラ、チェロともに同一の木より厳選された素材から製作されたものらしいです。さらに、宮本氏は自分の会心の作品には、ラベルの製造番号に「末広がりの八」と「自分の名前の八」を掛けて8の番号を付けたらしく、これらの楽器にもそれぞれNo.80、No.8、No.8と付けられているとのことです。氏の入魂ぶりがうかがえる一品でした。
正直なところ、ここまでいろいろな物が見られる所だとは思っていませんでした。ヴァイオリンに関しても写真だけで見るのとはまた全く違うので、しばらくしたらまた見に行きたいと思います。 
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↑館内で販売している展示楽器写真付きハガキ集(写真左、全3巻)、展示品写真集KALEIDOSCOPE(写真中央)、楽器博物館目録(写真右、現在全7巻)

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親方の製作中のヴィオラの表板と裏板の平面だしをしました。定規で平面を見ながらカンナをかけていきました。

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今日は親方の製作中のヴィオラの表・裏板の粗削りを手伝いました。
それから、まだ途中だった豆ガンナをとりあえずの所(まだ細かい調整をしていません)で仕上げました。
また、写真の物よりワンサイズ小さい物もやっぱり2つ(底面の異なるもの)作っています。今こちらは本体のだいたいの形をだし終わったところです。

今日はヴァイオリンのレッスンの日でした。先週からポジション移動の練習が加わったのですが、今日はそのポジション移動の音階練習だけ集中してやりました。
今日の練習は一本の指で移弦無しオクターブ、並びにそのアルペジオを弾くというものでした。それを各指、それぞれG・D・A・E線でやっていくバリエーション練習です。
午後には親方が以前製作したヴィオラが工房に入ってきたので、時間をもらって写真を撮らせてもらいました。
照明機材なども親方から借りて撮影したのですが、改めて楽器撮影の難しさを感じました。ちょっとした照明のあて方の違いで楽器の写り方は随分違うものです。