2007年12月
今日はヴァイオリンの表板はがれ修理、ヴァイオリンの指板の反り削り直し・駒の高さ・ナットの溝調整、指板交換及びネックリセットの修理中のヴァイオリンのニスリタッチの続きなどをしました。
楽器の構造の安定度合いでそのスピードには随分違いはでるものの、どの楽器も徐々に指板が下がってきます。
理想的な指板の角度(初期状態)から下がり度合いが進み、使用に耐えない高さ(下がりすぎて、ネック上げ修理が必要になる時期)に至るまでの過程では、指板の削り直し、駒の高さ調整(必要であれば、ナットの調整なども)をその指板の状態を追いかけるようなかたちで定期的に行われます。
そうしていく事で、駒が作られた時からもうこれ以上は削れないという段階になるまで、ヴァイオリンとしての一定な弾き易さ(正常な弦高)を保つことができるというしくみです。
今日は表板のはがれ修理等でお預かり中のチェロのニス傷のリタッチの仕上げ、ネックの入れ直し終えたヴァイオリンのニスリタッチの続き、ヴァイオリン弓の毛替え、新作ヴィオラ用の側板(横板、ツァルゲ、リブ)の製材などをしました。
楽器は実用品なので使いさえすれば、何らかのかたちでニスが傷んだり傷が付いてしまうものです。
例えば、アグレッシブな(?)演奏の結果(弓のフロッシュがぶつかった、譜面台がぶつかった、合奏中の共演者との接触等)、その間に必要な移動中の事故など、また、演奏による摩耗や汗などとの反応による損傷(特に演奏者が触れる機会の多い部分)など、ニスの傷一つをとってもいろいろなケースがあります。
それらどういった傷であれ、白木が出てしまっている(木にニスの層が全くのっていない)状態になってしまった箇所は、できるだけ速やかに補修するのが、楽器のダメージを最小限でおさえるコツです。
表・裏板のはがれなどの故障箇所にも同じ事が言えるのですが、そのまま長い期間放置して使い続けてしまうと(汗がしみこんだり、変形をさせてしまうと)、いざ修理をする時には単純な処置は厳しくなることがありますので、ちょっとした注意(意識)をもつのは、とてもいいことなんです。
更に、似たようなのことが楽器の駒の位置や前倒れ傾向に対する意識(注意)にも言えるのですが、それはまた別の機会にしましょう。
今日は新作製作に必要なライニング(ライフェン、内張)材の製材をひたすらやりました。
ヴァイオリン用、ヴィオラ用ともにけっこうできたのでライニング材に関してはしばらく安泰かもです。といっても、一般の方がそれだけで見たらアイスの棒みたいな板ペラですが・・・。
今年ももうすぐ終わりますが、来年は来年でやりたい事が既にたくさんあるので、できる限りの準備は本年中に済ませてのぞみたいとも思っています。
それにも多少関連するのですが、今回の製作はしばらくヴァイオリンとヴィオラを並行して作っていくつもりでいます。
新しいヴァイオリンとヴィオラ用のフォルム(内枠型)も完成したので、何だか楽しみです。