◆レーキ顔料(脱線編)

2016年05月29日(日)


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現在製作中のヴァイオリンの注文主の方にニスの仕上げの好みを聞いたら「少し赤っぽいのがいい。」とおっしゃっていましたので、製作の作業を進めながらも、それに合う色味の実験も続けています(実際にニスに用いる前に、いくつか確認・テストしたいことがあるもので・・・)。

 

天然の染料を煮出したものと金属塩を反応させてレーキ顔料を作るのですが、いろいろ基本的なやり方を試してきた中、自分なりの方法論が見えてきましたので、今は少し自分の中に出てきた仮説の検証に入っています。

 

それが一通り終わったら、次に一つ本丸のテーマがある(これが作品になる可能性が高いです)ので、こちらも焦らず着実に進めていこうと思っています。

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ただ、自分でとりあえずやってみようと思ってやる実験の醍醐味は別にもあって、まったく予想してない結果を見るということにもおもしろさを感じます。

 

僕は、ビヒクルとなるロジンをアルカリ溶液にとかして、ロジンそのものが染まるようなイメージ(あくまで、インクの専門家とかではないので、それどおりになっているかの解析より、実用としてニスと用いた時、より欲しい効果が出せるかを優先しています)でレーキ生成の手順を考えています。

 

今までは、そのアルカリ溶液は、主に炭酸カリウム溶液(作る人によって違うみたいです)を用いていたのですが、何となく読んでいたガラス工芸の本で、17世紀以降に北イタリアでガラス作りに用いられた植物の灰のデータが目にとまり、Na2OとK2Oとの配合を考えて試したら突然下の写真のようになって驚きました。

 

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いつもは、濃いコハク色になってロジンが溶けるのですが、今回は何とも形容しがたい・・・オパール的とでも言いいますか不思議で複雑な色の状態になりました。

 

今回のこの一つの結果がどのように成果に結びついていくかは、まだ未知数ですが、自分的には何故かいい予感がしていますので、また今後のリポートにもご期待下さい。