◆2016年新作ヴァイオリン

2016年12月10日(土)

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弦楽器フェア後も何かとドタバタしていまして、更新が滞っていました(やっと、いつものペースに戻りつつあります・・・)。

 

1ケ月以上も過ぎてしまったので今更で申し訳ないのですが、改めまして、弦楽器フェアでは皆さまお世話になりました。そして、ありがとうございました。

 

出展は結局のところ、最新作を1本と以前作った楽器との組み合わせでの、楽器2本の展示をいたしました。

 

ぎりぎりまで、最新作2本を製作法の違いをコントラストにして展示してみたいという気持ちがあったのですが、メインで作ってきた楽器のお客様には、かなり我慢して長い期間待っていただいていたので、出展より一番初めに弾いていただくことを優先させていただきました。

 

ここでは、せめて写真でだけでもと思い、ご紹介させていただきます。

 

一つ目の楽器は、その木目模様が特徴の表板ハーゼルフィヒテやその他素材はお客様と一緒に決めていきました。表板も裏板も木目の見え方に立体感が出るように仕上げております。

 

そして、次の楽器が、今回展示会に出しましたヴァイオリンになります。

 

前者の楽器とはフルバーニッシュとアンティークフィニッシュという対比もありますが、自分の中では現代製作と古典製作の対比を意識してみました。

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こちらのアンティークフィニッシュの方のヴァイオリンは、現在工房での試奏が可能です(もちろん、販売をしております)。

 

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

以下、製作中の様子(随分間が飛んでいますが・・・)です。

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◆チェロの横板割れ修理

2016年11月10日(木)

 

横板が割れてしまったチェロの修理の様子。今回は、楽器をオープンせず、予算&お預け期間を極力負担の小さいもので進めるという修理方針をとっていきます。

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外部から受けた力によって、割れが内側に凹んでズレ込んでいている状態でしたので、まず割れの近くに1mmほどの穴を開けさせていただきます。

 

(修理後、ニスの色合わせにより目立たないものになるのですが、無かった穴を新たに開けるという意味で全ての楽器に許される修理内容でないのが、この低予算型の修理ではあります。)

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ワイヤーを通し、接着と同時にズレた割れ断面を引っ張り出すかたちでぴったり合わせます。

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このチェロは割れが素直で、砕けて消失した破片なども無いので、内部に簡易的な補強のパッチを接着します。

 

今回楽器に貼り付けたいのは、薄い円形の補強で、写真にある角形のブロックは、それを接着するときに押さえとして機能するものなので、万が一膠がついてしまい一緒に接着されてしまいことがないように全体を膠の効かないテープで覆っておきます。

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いざ接着。割れの合わせ+接着+補強を同時にキメます。

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最近は、楽器の内部のモニタリング機材も驚くほど低価格化が進んでいるので、僕のような小規模個人工房にも気軽に導入できて助かります。

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ワイヤーで締めると、内部はこんな感じになっています。

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膠接着後、ワイヤーを外すと・・・。

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無事に割れを橋渡しするかたちで補強の施工ができました。

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割れのズレも、理想的に修正できました。あとはニスをリタッチして仕上げていきます。


◆2016 弦楽器フェア

2016年10月27日(木)

 

11月4日(金)、11月5日(土)、11月6日(日)に、東京、北の丸公園内にあります、科学技術館で行われる弦楽器フェアに製作したヴァイオリンを出展いたします。http://www.jsima.jp/fairinfo/fair2016/fairinfojp2016.html

 

フェアの会期中には、出展作品を用いた試奏コンサートも行われるのですが、僕の楽器も11月5日(土)16:30 〜17:15 のプログラムで、ヴァイオリニストの川畠成道さんに弾いていただく予定になっています。http://www.jsima.jp/fairinfo/fair2016/profile/2016_kawabata__obushi.html

 

今回は、諸々の都合がついて間に合うようであれば、新しいヴァイオリンを2本出展したいと思っています。

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たくさんのご来場をお待ちしております。


◆ボタン折れ修理

2016年10月14日(金)

 

パフリングに沿うかたちでボタンが折れてしまったヴァイオリンの修理の様子。

今回の楽器は、修理後、楽器の外部から見えない埋め込みパッチを施しました。

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◆新入荷 BAM VIOLIN CASE のご紹介

2016年07月14日(木)

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フランスのケースメーカーBAM のヴァイオリンケースが入荷しました。

 

St. Germain (Saint-Germain / サンジェルマン) シリーズのViolin Case Classic III です。BAM によるこのケースのコンセプトは ” Classic Elegance “。

 

ここは一つ、ちょっと雰囲気を変えるべくエレガントなケースなどいかがでしょうか。

 

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肩当てが、ケース外側から開閉できる奥行きのあるポケットに入れられるようにデザインされています(実は、ケース裏側にもさらに容量のあるポケットがもう一つ付いています)。

 

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市場にある2万円以内から5万円くらいまでの価格帯のケースを見回してみると、作りや質感が楽しめる(持っていてちょっと嬉しいというような)ケースがなかなか無くて、自分的にはさみしく感じられる昨今・・・このケースは、ちょっと異彩を放ってくれていましたので、今回セレクトしてみました。

 

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取っ手や金具、ケースを立てた時などに機能するゴム足などにも独特な存在感を持たせているのもBAM ならではという感じです。

 

ケースにも何か違いをお求めの方に是非おすすめです。

 

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ちなみに、現在工房には、グレーとブルーがございます(ご希望に応じて、他のカラーもご用意できます)。

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ご購入希望の方には、楽器用ドライペットをお付けいたします。その他のラインナップや価格等もお気軽にお問い合わせ下さい。


◆紫外線照射時の蛍光

2016年07月09日(土)

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先日、いくつかのパターンで熱処理したロジンを観察した様子を少し書きましたが、それらをヴァイオリンのオイルニス化する前にそれぞれの樹脂の特性をもう少し知る為、まずはただバルサムテレピンで溶解した各ロジンを実際に塗布して(乾燥もさせ)、プリンスに捧げるべく紫外線照射環境での蛍光を見てみました。

 

鉄と錫は対照的なくらい蛍光に差があることを確認。これだけ特徴的な蛍光を示してくれると、それぞれ用途の使い分けを考えていくのが、おもしろいかもしれないなぁ。

 

以下、参考書類を眺めてみる・・・。

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◆そしてバルサム系の実験へ

2016年07月06日(水)

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ロジンの加熱処理の実験をしばらく続けていましたが、次は、今まで自分は試してみたことがなかったバルサム系の熱処理の実習をいくつかこなしていきたいと考えています。

 

いろんな意味でコスト高な樹脂にはなりますが、仕上がった色の感じは期待できそうな感じです。


◆オイルニスのあれこれやってみた

2016年06月15日(水)

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先日少し書きました、レーキ顔料の洗浄・濾過・乾燥が終わりましたので、パウダー状に仕上げてみました(この細かい粉の状態にまでしてみないと、どういう発色の特性があるのか自分はよく判らないです)。

 

アルミの媒染で出した色の中では、今回の色が今までで一番ショッキングな色が出せました。んー、おもしろい。

 

錫の媒染では比較的派手な発色が可能だなと何となく感じていたのですが、この結果を見るとアルミだけでも十分バリエーションが組める気がしてきました。

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プリンスに捧げるべく紫(ゆかり)をせっせと繰り返し作っていましたので、最近は変な熟練感が出てきてしまいました。

 

今回のが中央(通称:わかめオパール)。一番右のだけ錫+アルミによる媒染で、他4つはアルミだけを用いています。

 

桐生の天然染色研究所の田島所長に見せたらどんな顔するだろう・・・以前いろいろ教えていただいた時、別れ際「今度またコチニール談義しよう!」というちょっとシュールなエールをいただいたきりになっていたからなぁ。

 

今度時間を作って、できた顔料をお見せしなくては(一緒におもしろがってくれるといいんだけど・・・)。

 

そして、一度脱線した暴走機関車は急には止まらない訳で・・・。

 

最近、このレーキ顔料作りと並行してやっていたのが、オイルニスに用いるロジンの熱処理の実験であります。

 

こちらの奥深さも果てしないものがあって、少々恐怖おののいています・・・こうなると、古い絵画に描かれている錬金術師が、なぜ憂鬱な表情をしているのかも何だか解る気がしてきますが・・・。

 

ちょっと関係のない話に思われるかもしれませんが、宝石の世界では一般的に知られていることで(ちなみに、僕はつい最近知ったのですが)、ルビーとサファイアは見た目の色はあれだけ異なるのに、いずれも98%以上同一の物質が結晶化したコランダムの一種なのだそうです(マジか!)。

 

本来、純粋なコランダムは無色透明で、わずかな不純物があの色の差を生むらしいのです(ワオ!世界って不思議だね)。

 

「原子の規則的な並び方のわずかな違いで、まったく別の色になることがある」

 

(仮説)オイルニスに用いるロジンも結晶構造を作りますから、含まれる不純物の違いで同じように吸収する光の波長が変わり、人の目には色が違って見えるのではないかということで、あとは実践あるのみ。果敢にやってみました。

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まずは微量のアルミ(上写真)。加熱時間、温度は、がんばって極力一定にしたつもりです。

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次が錫(上写真)。

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最後は鉄(上写真)です。ここでの固まりの形の違いは、ただ保存のため任意に砕いただけなのであまり意味はありませんが、ガラス容器に散らばった小さな破片などを観察すると明らかに色の違いが見て取れました。

 

色以外にも、加熱の過程での変化や、樹脂のツヤ等にも違いが確認できて興味深かったです。

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古典的でとてもシンプルなオイルニス(写真はイメージです。まだ試作品ですね。)において、いろいろ試していく道すがら、作者の数だけ多様性が否応無しでも発生するメカニズムを今更ながら実感する日々であります。

 

情報のグローバル化と作家のローカル性は、相反するものではなくて、パラレルであったり、より強調されるかたちで作品化されたものが(楽器に限らず)、やはりおもしろいと感じます。


◆チェロのペグ穴のブッシング

2016年06月10日(金)

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チェロのペグ交換をするのですが、もともとに入っていたペグがかなり太いものでしたので、一度穴を埋め直す作業が必要となりました。

 

そんな時、行うのがこのブッシング作業なのですが、 僕は師匠の工房で旋盤を使ってのブッシングを教えていただいて今でもこのやり方で行っています。

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チェロのペグ穴は左右合わせて8カ所ある訳ですが、慣れてくると上の写真くらいの柘植材があれば楽器一本分すべて穴埋めが可能です。

 

修理材の無駄も出にくいので、自分は好きな修理法です。

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柘植材の小口(とても堅いです)の加工はなかなか大変ですので、初めからノミだけで加工をしようとはしません。

 

できるかぎり限り大きな加工が可能な道具を選択して(この場合はノコギリですね)作業をすることが我々木工に関わる職人の習慣でもあり、普段、自分自身も大事な基礎として身につけていくことを心がけています。

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ちなみに、こちらは応用編ではありますが、僕はリューターも時々使います。

 

ただし、誤解があってはいけないのですが、合理的な機械の多くは、それ以前に手道具で奇麗に仕事ができる技術を身につけていないと、一瞬で取り返しのつかない失敗に結びつきますので、何でもかんでも取り入れれば良いということではありません。

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もちろん、これで仕上げることなどありませんのでご心配なく。このあたりからノミを入れてあげれば仕事もスムーズですし、奥まったペグボックスの底なども不用意に傷つける心配も減ります。


◆調整・修理いろいろ

2016年06月03日(金)

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古いスズキのコントラバスの指板の反りの全面削り直し作業。黒檀材ではない指板は削ると当然白くなってしまいますので・・・。

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黒く染めて仕上げることになります。黒は案外よく見ると紫色っぽくなってしまいがちなのですが、いい感じに染まったと思います。

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横板・表板・裏板がはがれてしまった楽器も、新しいニカワで適切な処置をしてあげれば、ほとんどの場合修理が可能です。

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こちらは裏板の割れ修理の為の石膏キャスティングの様子。もう少し肌理が整った石膏にできたら良かったのですが・・・何事も焦ってはいけませんね。