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チェロの表板割れ修理(魂柱パッチ)
2015年04月27日(月)
現在進めている表板が大きく割れてしまったチェロ修理の様子をレポート。
駒足や魂柱が当たる部分を含む約60cmほどの割れです。バスバーと表板そのもののねじれの力によって割れの部分も上下にずれていて、うまく矯正してあげないとなりません。
まずは、この割れをずれ無く合わせて接着する必要があるのですが、毎回いくつかの方法をテストしてみて、接着時の合わせのコントロールと結果が最も良いものを、そのケースの修理方針(使用する道具や修理技法)として採用するようにしています。
今回の修理はGクランプを使って割れの修理を行いました。
初めに、割れの両サイドに、わずかに隙間をあけブロック材をニカワ付けします。作業のための作業。このブロック達の接着は一時的なものです。
割れが上下にずれようとするのをうまく矯正しながら、準備しておいたブロック材を噛むようにGクランプを締めていきます。
ちなみに、接着時には上下の合わせを誘導するクランプ用に塩ビの当て板を用意しておきます。必要に応じて表側に当てる板と内側に当てる板の厚みや硬さを変えることによって、楽器のアーチが損なわれないよう工夫します。
割れの接着・補強の取り付けが終わったら、魂柱パッチの施工の準備です。まずは、パッチ施工部周辺の石膏型を取ります。今回は錫箔を用いたキャストの作り方。
石膏を流し込んだところですね。
こんな感じの型を取ります。
石膏型が用意できたら、駒足・魂柱が当たる部分にパッチの形をデザインします。
魂柱パッチは表板に埋め込むように取り付けるのですが、まずはパッチ材を埋め込む溝の形成です。溝の深さとアールはテンプレートを作って、ある程度設計されたものにしています。こうする事により、この後、パッチ材と接地(接着)面を合わせる仕事もやり易いので、僕はこのようにしています。
溝の加工が仕上がったら、それにぴったり合うパッチ材を作ります。こちらも作業効率のためにテンプレートを作っておき、小さなヴァイオリンの隆起を形成する感覚で表板と同じ材料を加工していきます。テンプレートでほぼ形を合わせておき、そこからチョークの粉を使い細かい面と面の接地の精度を出していきます。
表板側に彫り込んだ溝と、それを埋めるパッチ材を合わせていく様子。常に同じ位置で埋め材を当てられるようにガイドとなるブロックを一時的に取り付けて作業をします。
このようにしながら取り付けられた魂柱パッチはこんな感じ。表板の割れが魂柱の当たる部分を通っている場合は、割れが再度開かないようにこのような補強が必要となります。
現在、取り外していた表板を楽器に戻し、仕上げに向けてニスをリタッチしているところです。