ヴィオラのネック・ベンド修理

2015年04月19日(日)

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ネック材(カエデ材)が反ってしまったことにより、指板がはがれたヴィオラの修理。真っ直ぐな定規を当ててみると、ネックの変形度合いが良く分かります。

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変形が軽度であったり、ペグボックスまでにカンナが掛けられる余地が指板との接着面に設計されている楽器であれば、簡単なネックの平面調整で指板の再接着 が可能です。ただ、今回のヴィオラは生じた反りも大きく、安易にカンナを掛けるとペグボックスが大幅に損なわれてしまうような作りのネックでした。

 

そこで、今回はネック・ベンドを施しての指板再接着という修理方針をとってみました。

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このような治具を作り、熱を掛ける際のベンド幅を調整します。まずは力を掛けていない状態。分かりにくいですが元の反りが確認できます。

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クランプで少し力を掛けて、ほぼ直線定規に沿う真っ直ぐに見える状態。でも、実際に熱をかける時にはこの力加減だと反りが残ってしまいます(修正不足になります)。

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ですので、さらに力を加えわずかに逆反りさせるくらいに調整します。

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ネック材と定規との間に隙間が確認できるくらいの力をかけてみました。こんな感じ。

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そこへ十分に熱した真鍮ブロックを濡れたキッチンペーパーと合わせて押し当て固定します。そして、修正が安定するまでしばらくそのまま放置します。

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十分に時間を置いた後、クランプ・治具類を取り外した状態がこんな感じ。曲げ具合も上手くいき、ほぼ理想的に修正できたと思います。